BT-Online1によりリアルタイムでセメントの粒子径を測定
2020-09-01Application Briefs
■ セメント製造におけるエネルギーコストと粒度管理の重要性
世界のエネルギー消費量のうち、1%以上がセメントの粉砕工程に使用されていると言われています。セメント粉砕の効率は決して高くなく、粉砕装置で消費される電力のうち、実際に粉砕に有効活用されているのは5%未満とも言われています。特に最終粉砕工程(Finish Milling)は全体の電力消費の85~90%を占めており、省エネ対策が急務です。生産工程全体の最適化を実現するには、大規模な設備更新に加えて、リアルタイムなモニタリングと制御の強化が最も早く確実な投資対効果をもたらします。
■ BT-Online1によりリアルタイムでセメントの粒子径を測定
従来のラボ用粒子径分布測定装置は、品質管理に役立つ反面、結果の取得にタイムラグが生じ、生産現場での即時対応が難しいという課題がありました。そこで開発されたのが、セメント工場環境に対応した堅牢なオンライン粒度分布測定装置「BT-Online1」です。
この装置では、粉砕ラインから最大10kg/hのセメントサンプルを自動で採取し、レーザー回折法によりリアルタイムに粒子径分布を測定します。摩耗性の高いセメントに対応するため、長期使用にも耐える設計となっています。
図1. BT-Online1の正面図と背面図、矢印で示されたのはサンプリング装置
■ ラボ測定との比較
BT-Online1の測定結果は、同社のラボ用レーザー回折式粒子径分布測定装置Bettersizer 2600と比較して非常に良好な相関性を示しています。下記グラフ(図2・図3)からも分かる通り、圧縮強度の異なるセメント試料の粒子径(D50)や3~32μmの粒子含有率において、両者は非常に近い傾向を示しています。
図2. ラボ装置とオンライン装置によるD50測定結果の比較
図3. ラボ装置とオンライン装置による3~32μm含有率測定結果の比較
さらに、ふるい法との比較も実施されました。ふるい法では、粒子の2次元形状しか把握できず、不定形粒子の評価には限界がありますが、BT-Online1は散乱光信号を取得することで、より精度の高い粒子径分布が得られます。図4に示す通り、粒子径45μm以上の含有率において、両者のトレンドは一致しました。
図4. オンライン測定とふるい分析による45μm以上の粒子比較
■ まとめ
セメント製造において、粒度のリアルタイム監視・制御は品質安定とコスト削減の鍵です。BT-Online1は、完全自動でD50、3~32μm、45μm以上などの粒子サイズ情報を取得し、工場の制御室に設置されたコンピュータと連携して、粉砕工程の最適化を可能にします。
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生産コストの削減
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品質の一貫性確保
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エネルギー効率の向上
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操作不要の自動測定による業務負荷軽減
すべてを兼ね備えたBT-Online1は、次世代のセメント工場における最適な粒度管理ソリューションです。