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油性懸濁型農薬の粒子径測定におけるレーザー回折法の応用〜Bettersizer 2600による粒子径分布評価〜

2020-10-16Application Briefs

油性懸濁型農薬とは?

 

油性懸濁型農薬(OD:Oil Dispersion)は、有効成分(固体)を植物油や鉱油などの油相に分散させた製剤です。近年、有機リン系や除草剤などにおいて水溶性ではない成分を効率よく分散・安定化させる手法として注目されています。使用される油分には、植物油・パラフィン・メチル化種子油・芳香族系溶剤などがあり、製剤の安定性や使用効果にも大きく関与します。

 

OD製剤の粒子径が重要な理由

 

農薬の分散性・安定性・浸透性・付着性などに影響を与える要因として、「粒子径」は極めて重要です。
特に、粒子が大きすぎると沈降しやすく、小さすぎると再凝集や過剰浸透が発生する可能性があるため、適切な粒度分布の管理が必要不可欠です。

 

three kinds of suspension concentrate

図1. 懸濁型農薬(SC・OD・OF)

 

Characteristic of Pesticide dosage of suspension concentrates

表1. SC・OD・OF 各種懸濁型農薬の特徴比較

 

 

対象サンプル:フルオロシアン酸系除草剤

 

本測定では、水稲向けに使用される「フルオロシアン酸グラスエステル系除草剤(Cyanide Fluorine Grass Ester)」を対象としました。この化合物は、植物の葉・葉鞘から吸収され、師管を通じて全身に伝達される内生移行型の除草剤です。この除草剤は、脂肪酸の合成を阻害し、細胞分裂を妨げることで雑草を枯死させるメカニズムを持っており、水稲に対する安全性が高く、特に有望な有効成分の一つです。

 

Bettersizer 2600 による粒子径評価:画像法 vs レーザー回折法

 

油性懸濁型除草剤のサンプルAおよびBについて、レーザー回折法(Bettersizer 2600)と光学顕微鏡による画像解析法の比較を行いました。

 

Comparison of laser diffraction analysis and image analysis in D10, D50 and D97 particle size in sample B

 

画像法では粒子の再凝集や視野内に現れる代表性の課題があるため、粒子径が過大評価される傾向が見られました。
一方、Bettersizer 2600は、超音波分散+循環機構を内蔵しており、測定中の再凝集を防止し、真の粒子径分布を反映した結果が得られました。

 

 

画像法の限界とレーザー回折法の有効性

 

画像法は、粒径が10 µm以上の粒子であれば比較的容易に評価可能ですが、

  • 小粒子(<5 µm)では解像度や代表性に課題

  • 凝集粒子の分離が困難

  • 分散状態に依存しやすく、再現性が低い

  • 精度を求めるならSEMが必要(ただし高額)

といった制限があります。

 

一方、Bettersizer 2600 は以下の利点を有しています:

  • ナノ~ミクロン領域の粒子径評価が可能(0.02 µm~)

  • 自動分散・循環により再凝集を抑制

  • 迅速かつ再現性の高い測定が可能

  • 油性系の濁ったサンプルでも正確なデータ取得

 

 

まとめ

 

油性懸濁型農薬の製剤開発や品質管理において、粒度分布の精密評価は欠かせません。

Bettersizer 2600 は、画像法では困難な微細粒子の評価を簡便かつ高精度に実現できるツールとして、農薬メーカーの現場における強力なサポートとなります。

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