脱脂粉乳および全脂粉乳の粒子径分布解析 – Bettersizer 2600による迅速かつ高精度な測定
2020-11-26Application Briefs

乳粉末は、飲料、コーヒー、洋菓子、ヨーグルト、調味ソース、復元乳など、多くの食品加工において重要な原材料の一つとして使用されています。近年、生活水準の向上に伴い、乳製品に対する風味・食感・品質の要求はますます高まっています。
その品質を左右する要素の一つが粒子径です。製造条件(ホモジナイゼーション、噴霧乾燥、ふるい分けなど)、包装、輸送、保管環境などの違いによって、粉乳の粒子径分布は大きく変動する可能性があります。そのため、製造工程中における粒子径のリアルタイムモニタリングは、製品の安定性と品質管理の観点から極めて重要です。
粉乳の粒子径測定法とレーザー回折法の利点
粉乳の粒子径評価には、以下のような手法が知られています:
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顕微鏡観察
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沈降法
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ふるい分け法
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画像解析
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レーザー回折法
中でもレーザー回折法は、高精度・高再現性・迅速な測定が可能で、粉乳製造現場で広く採用されています。
Bettersizer 2600による測定事例
本測定では、Bettersizer 2600(乾式分散モジュール搭載)を用いて、複数ブランドの脱脂粉乳および全脂粉乳の粒子径分布を評価しました。Bettersizer 2600は、フーリエおよび逆フーリエ光学系を組み合わせた独自設計を採用しており、前方・側方・後方散乱光を同時に高精度で検出します。さらに、傾斜サンプルセルの採用により、内部全反射の影響を抑え、広範囲の測定と高解像度を両立しています。この技術により、脂肪球やカゼイン粒子の分布、およびそれらの相互作用に関する詳細な評価が可能です。

図1. ブランドAおよびBの脱脂粉乳・全脂粉乳の累積体積分布と粒子径の関係

図2. ブランドAおよびBの脱脂粉乳・全脂粉乳の粒子径分布
測定結果
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全脂粉乳は、脱脂粉乳よりも平均粒子径が大きい傾向にあります。
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同じ粉乳タイプでも、ブランドによって粒子径分布に違いが見られました。
この違いは、ブランドごとの製造条件(噴霧乾燥時の温度設定、ノズル圧力、ホモジナイザーの圧力・速度など)に起因するものと考えられます。特に、ホモジナイザーの圧力や時間が不十分だと、脂肪粒子が十分に分散されず、大きな粒子が残存する可能性があります。
まとめ
粉乳の味・溶解性・触感といった物性は、粒子径分布と密接に関係しています。
Bettersizer 2600は、製造・包装・保管・使用各段階における粒子径変化を高精度に把握することができ、乳製品の品質管理と開発支援に最適なツールです。