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レーザー回折法によるSi/C複合負極材料の粒子径分布解析

2024-03-06Application Note

次世代のリチウムイオン電池において、シリコン/カーボン(Si/C)複合負極は、その高い理論容量から大きな注目を集めています。本アプリケーションノートでは、エネルギー密度の最大化を目的とし、Si/C負極材料のタップ密度や比表面積に大きな影響を与える粒子径分布を評価します。Bettersizer 2600とBT-80N耐腐食型湿式分散ユニットを組み合わせることで、有機溶剤中における高精度かつ高再現性の粒子径測定が可能です。

   

測定装置 Bettersizer 2600(レーザー回折式粒子径分布測定装置)
産業分野 電池材料
サンプル Si/C複合負極材(リチウムイオン電池用)
測定項目 粒子径、粒子径分布
測定技術 レーザー回折法

 

はじめに

 

近年、ポータブルデバイスや電気自動車の普及に伴い、リチウムイオン電池にはより高いエネルギー密度が求められています。中でもシリコン系負極材料は、従来のグラファイトに比べてはるかに高い理論容量を有し、資源的にも持続可能性が高い素材として注目されています。

中でもSi/C複合材料は、比容量が高い一方で、導電性やサイクル寿命に課題があるため、適切な粒子径分布比表面積タップ密度を持つ活物質の設計が重要となります。本稿では、均一性の高いSi/C複合微粒子の粒子径分布評価を通じて、電池性能向上への知見を提供します。

 

Figure-1-Structural-model-of-silicon-carbon-micro-sized-anodes

図1. シリコン/カーボン微粒子負極の構造モデル

 

測定設計

 

レーザー回折法を用いた粒子径測定では、適切な分散媒の選定が不可欠です。分散媒は試料と反応せず、安定な分散状態を保つ必要があります。本測定では、表面張力が低くSiベース材料との親和性が高いイソプロパノール(IPA)を使用しました。BT-80Nは、イソプロパノールをはじめとする以下のような有機溶媒に対応可能です:エタノール、メタノール、イソプロパノール、エーテル、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、オクタン、酢酸エチル、アセトン、メチルオレイン酸、NMP など 

Bettersizer 2600 with BT-80Nベータサイザー2600とBT-80N

測定結果と考察

 

粒子径分布の比較 

 

Bettersizer 2600とBT-80Nを用いて、5種類のSi/C複合材サンプルを測定しました。図2に粒子径分布、表2に代表的な粒子径(D50)を示します。

D50は、累積頻度が50%となる粒子径を示し、充放電性能やサイクル寿命と密接に関係します。粒子径が小さいほど比表面積が大きくなり、反応性は向上しますが、界面反応の増加により寿命に影響する場合もあるため、粒子径分布の最適化が不可欠です。

なお、サンプルCは最も狭い分布を示しており、分布の均一性が最も高いことが分かります。

 

Figure-2-Particle-size-distribution-of-silicon-carbon-anode

 図2. シリコン/カーボン負極材料の粒子径分布

 

表2. シリコン/カーボン負極材料の代表粒子径

Sample

D10 (μm)

D50 (μm)

D90 (μm)

Span

A

2.417

5.808

10.630

1.409

B

2.594

6.130

10.820

1.343

C

4.239

7.228

11.920

1.063

D

5.452

11.010

19.960

1.318

E

12.130

26.690

44.750

1.221

 

D50は、累積頻度が50%となる粒子径を示し、充放電性能やサイクル寿命と密接に関係します。粒子径が小さいほど比表面積が大きくなり、反応性は向上しますが、界面反応の増加により寿命に影響する場合もあるため、粒子径分布の最適化が不可欠です。

なお、サンプルCは最も狭い分布を示しており、分布の均一性が最も高いことが分かります。

 

再現性評価

 

サンプルCについて、複数回の繰り返し測定を実施した結果(図3)、D10・D50・D90の変動幅はそれぞれ0.11%、0.03%、0.09%であり、ISO 13320の基準を十分に満たす高い再現性を確認しました。

 

Figure-3--Repeatability-test-of-sample-C

 図3. サンプルCの再現性評価結果

 

まとめ

 

Si/C複合負極の高性能化には、粒子径とその分布の最適化が欠かせません。本評価では、Bettersizer 2600およびBT-80Nの組み合わせにより、有機溶剤中でも高精度・高再現性の粒子径評価が可能であることを実証しました。

また、粒子径分布の均一性は、エネルギー密度およびタップ密度の向上に寄与するため、電池材料開発における重要な指標となります。

 

著者について

Bettersize-application-engineer-Feiqing-Shen Feiqing Shen

アプリケーションエンジニア @ Bettersize Instruments

 

 

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