粒度も形状も、これ一台で評価〜ベターサイザー S3 Plus による研磨材の粒子評価〜
2020-10-30Application Briefs

研磨材の役割と多様性
研磨材(アブレシブ)は、他のより柔らかい材料を切削・研削・研磨するために使用される材料であり、日常生活から産業、最先端の技術分野まで広く活用されています。例えば、大工が木材をなめらかに整えるために使うサンドペーパーや、自動車にツヤを与える研磨剤入りワックスなどがその一例です。研磨材は摩擦を利用して表面を削るため、その粒子径(サイズ)や形状(シャープさや丸み)が性能に大きく関わってきます。
粒度+形状を1台で同時測定:S3 Plus の実力
本例では、レーザー回折法と動的画像解析を組み合わせたBettersizer S3 Plusを用いて、コランダム系の研磨材(細目・中目・粗目)の粒子径と粒子形状を同時に評価しました。

図1. 粒度分布(体積累積)比較
細目・中目・粗目のコランダム粉末
測定結果からは、粒子径の違いが明確に現れ、粗目ほど粒子が大きく、より強い研削力を持つことがわかりました。

興味深いのは、サイズに差があるにも関わらず、3種類の研磨材すべてで円形度(丸さ)が非常に近いことです。これは、製造工程での粉砕管理が高度に制御されていることを示しています。
粗大粒子の形状を画像で「見える化」
Bettersizer S3 Plusの動的画像解析は、すべての粒子を「カウント方式」で捉えるため、粒子ごとの形状やサイズを個別に解析可能です。また、フェレ幅(最小幅)・フェレ長(最大長)など、形状パラメータも複数同時に取得できるため、過度に大きい粒子や球状粒子の検出にも最適です。

図2. 動画像による粗目粒子の撮影例(200–500 µm)

表2. 粗大粒子の詳細形状データ
円形度は、1に近いほど球形に近く、0に近づくほど細長い形状を示します。
Bettersizer S3 Plusではこのような形状モルフォロジーの微妙な違いも数値化・可視化することができます。
混合サンプルも高解像度で分離解析
最後に、細目・中目・粗目の3種類を混合したサンプルも測定し、個々の粒子径分布がどう現れるかを確認しました。

図3. 混合サンプルを含む4種の粒度分布比較
結果として、3つの原料が明確に検出されており、Bettersizer S3 Plusの高分解能性能が立証されました。
まとめ
Bettersizer S3 Plus は、従来のレーザー回折式粒子径測定装置とは異なり、粒子のサイズと形状の両方を一度に評価できます。
これにより、
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単なる粒度管理にとどまらず
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形状による機能性・研磨性能の違いまで把握可能
となり、より高度な品質管理や製品開発のサポートが可能です。